猿丸大夫の歌 「しなが鳥 猪名山ゆすり 行く水の・・・」

「しなが鳥 猪名山ゆすり 行く水の・・・」
先日の猿丸大夫の歌について調べてみました。

 4月21日に伊丹空港北がわにある四等三角点・下河原をたずねたときに、猿丸大夫の歌碑を偶然みつけました。

 箕面〔みのう〕川と猪名〔いな〕川の合流点、むかしなら「出合〔であい〕」とか「落合〔おちあい〕」という地名なんでしょうが、その合流点の先端のヘアピンカーブの小道を猪名川の方へすすむと、左手に身長ぐらいの高さの歌碑が立っています。
 近づいてみると傍らに四角柱の石碑があり、正面には「伝藤原行成筆「猿丸集切」より採録」、横面には「昭和五十七年十一月 伊丹文化財保存協会建之」と書いています。

 先日ブログに書いた碑文の部分は間違っているようです。
 いろいろ調べてみましたが、『猿丸集』のなかにこの歌を見出すことはできませんでした。

画像



















仕方なく、詞書の部分は

「なたちはてちるをうなのもとに」
・・・名立ち果て散る女の許に・・・

と書いているのではないか、と自己流に判断しました。
・・・名前が立って=名前が評判になって【ふたりの関係が】終わりになってしまった女性の許へ・・・と自己流に解釈しました。

自慢じゃないが、セッシャ仮名文字を読む素養は皆無ですから、自信はありません。
間違っていたらごめんなさいm(_ _)m


◆藤原行成が筆で書いたと伝えられる猿丸大夫の歌碑は、自己流に読むと次のようになります:

    なたちはてちるをむなの許に

しながとり ゐな山ゆすり 行みつの

なのみきにいりて こひわたるかな


と読みました。

漢字を入れて書くと:

      名立ち果て散る女の許に

しなが鳥 猪名山揺すり 行く水の
   名のみ気に入りて 恋ひ渡るかも


となります。

猪名川の上流の山をゆり動かすようにはげしく流れていく水とおなじように、名高く有名になって流れていく名前だけを気にいって、私はずっと今まであなたを恋し続けていたのです・・・あぁ・・・←「かも」

という、猿丸大夫がある女性を恋する嘆きを詠んだ歌でしょう。

◆万葉集の歌と較べてみると面白いですよ:

万葉集 2708:

しなが鳥 猪名山響〔とよ※〕に 行く水の 名のみ寄そりし 隠〔こも〕り妻はも ・・・評判ばかり立てられて籠もり妻はあぁ、悲しい><;

しなが鳥 猪名山響〔とよ※〕に 行く水の 名のみ寄そりて 恋ひつつや あらむ〔一云〕 ・・・評判ばかり立てられて恋しく思い続けていることでしょう・・・


猿丸大夫の歌:

しなが鳥 猪名山ゆすり〔※〕 行く水の 名のみきにいりて 恋ひわたるかな・・・評判の名のみが気に入って恋し続けてきたことよ・・・・


【※蛇足】・・・響に【とよに】とは「ひびく・とどろく」、ゆすりは振動して揺れる・・・易の卦でみると☳震の卦象になります。響【とよ】は豊に音通し、「ライデンみなイタるは豊」の雷火豊の卦を思いだします。


 しなが鳥というのは「カイツブリ」のことで、猪名〔いな〕または安房に掛かる枕詞です。
猪名〔いな〕というのは地名で大阪の北部・北摂つまり吹田・池田・伊丹・尼崎にわたる地域をいいます。万葉集のころは猪名県〔いなのあがた〕とよばれていました。
安房というのは千葉県のことだそうです。

 いまの伊丹市と尼崎市は兵庫県になります。万葉時代には尼崎のミナトを「伊那のみなと【水門・水戸】」、池田・伊丹・宝塚の平野を「猪名の野」といいます。宝塚市・川西市・池田市の猪名川の上流にある山を「猪名の山」といい、兵庫県と大阪府のほぼ県境のあたりを大阪湾にむかって流れる川を猪名川といいます。

 猿丸大夫については梅原猛氏の『水底の歌』などいろいろ面白い話があり、わからない部分が多いひとのようです。



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