『みどりの日』 緑・碧・翠

きょう5月4日は『みどりの日』です。
薫風かおる五月、緑の一段と鮮やかな季節です。
「みどり」という言葉は、おそらく緑の若葉のみずみずしい季節に因んで名づけたのでしょう。

◇「みどり」の字には、緑、翠、碧などがあります。
・「緑」・・・彔〔ろく・りょく〕の声の形声文字で
 『説文解字』13上には「帛の青黄色なるものなり」とあり、
 青黄色に染めた布のことだそうです。
 緑には「かりやす」の意味もありますから、
 「かりやす」の葉の色を指すのでしょうか。 

 *また「緑」は、「糸+剥ぐの左の部分」から成り
  糸は染め糸で「色」をあらわし、「剥ぐ」は若竹の皮を剥ぐという意味で、
  若竹の皮を剥いだときの鮮やかな竹の緑をあらわす字だ、
  という説もあります。


・「碧」・・・『説文解字』1上に「石の青く美しき者なり」とあり「碧玉」のこと。
 「碧玉」の青緑をいうのでしょうか。

・「翠」・・・これは「翠鳥」つまり「かわせみ」のこと。
 雄を「翡」といい、合わせて「翡翠〔ひすい〕」といいます。

こうしてみると、緑は植物の色、碧は鉱物の色、翠は動物の色で
「みどり」を表わしているの字です。


◇「みどり」の語源は不明だそうですが、
おそらく「みづ」「みづみづし」と同系のものでしょう。
幼い子供を「緑児〔みどりこ〕」「緑女〔みどりめ〕」というのも、
若くてみずみずしいところから名付けたのでしょう。

◇万葉集のなかで「みどり」を読んだ歌を探してみました:
浅緑染めかけたりと見るまでに
     春の柳は萌えにけるかも  万葉集 1847

春は萌え夏は緑に、紅の
     まだらに見ゆる秋の山かも  万葉集 2177

◇『詩経』には「邶風〔はいふう〕 緑衣」というのがあります:

緑や衣や 緑衣黄裏
心の憂ふる いつかこれこそ已〔や〕まむ

緑や衣や 緑衣黄裳
心の憂ふる いつかこれこそ亡〔や〕まむ

緑や糸や 女の治めしところ
われ古人思ふに とが無からしむ

絺〔ち〕や綌〔げき〕や 淒〔せい〕としてそれ以て風ふく
われ古人思ふに まことにわが心を獲たりと

*緑衣黄裳 
 衣とは腰より上の着物・上衣、裳とは腰より下の着物・袴のこと

*女の治めし
 女は汝、汝が染めてくれた

*古人 
 その染めてくれた汝が亡くなって古人・故人となった

*絺〔ち〕や綌〔げき〕や
  絺〔ち〕は葛で作ったうすいきれ、綌〔げき〕は葛で作った粗いきれ
  絺〔ち〕と綌〔げき〕で夏のかたびらをつくる

緑が中色 黄が正色を意味するから緑を妾 黄を妃とみて
「緑衣黄裏」「緑衣黄裳」を賤妾僭上を意味するものである、
という説があるが、、それは誤りと白川静氏は言っています:

「緑衣」の詩は悼亡、わが国でいう哀傷の歌であり、挽歌である。
緑の御衣〔おんぞ〕、黄なる裳〔もすそ〕、それはいまは亡き妻の形見である。
形見の衣を室にとどめて、見るごとにその人を思う。その衣は、妻が自ら織り、
丹精をこめてしたてた服であった。思えば非のうちどころのない妻であった。
いまは秋風の吹きめぐるときとなったが、この形見の衣をおさめてしまうには
忍びない、という亡き人への思慕が哀切に歌われている。

◇『易経』の坤爲地の五爻にも
「黄裳元吉」という爻辞があります。



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