takusankanの周易占いノート

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zoom RSS ◆きょうは『上野の父』小林喜久治先生の命日 ・・占例『情炎』

<<   作成日時 : 2018/06/13 13:08   >>

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◆きょうは『上野の父』小林喜久治先生の命日
 きょう6月13日は『上野の父』といわれた易占家・小林喜久治先生の命日です。
 先生は平成7年【1995年】の今日 満六十七歳の生涯をとじられました。

『易学研究』に毎月掲載される先生の実占例を読むのが楽しみでした。
 語り口調でテンポのいい書き出しと、文末の何となくわびしさを感じさせる余韻が何ともいえない魅力をかもし出す文体でした。

 小林喜久治先生は、大岳先生のお話では「大東亜戦争では少年航空兵として生死の際に身を曝し」てきた予科練の生き残りでした。しかし、当時のことを書かれた先生の記事を『易学研究』のなかでまったく見ることはできません。
 わずか占例のなかに、予科練の甲十三期生であることがわかりました。甲十三期生は昭和18年の入隊ですから、先生は十五才の頃です、修了は、前期が昭和19年の7月 後期が昭和20年2月ですから、終戦の時にはどんな思いだったか想像できませんが、気持ちを切り替えが大変だったと思います。もしかしたら、その頃、易学・易占に出会ったのかも知れませんね^L^


◆ことしも「上野の父」小林喜久治先生の実占例を紹介いたします。ある女性の燃えるような愛欲の凄さを感じさせる易占です。蛇足かもしれませんが、初心者にも理解できるように詳しく解説してみました。:
 街占雑記(31)『情炎』

          小林喜久治


 卯月下旬は穀雨に濡れて、国鉄ストのニュースも他所事と、連休気遣う身でもなく、通い慣れたる山手に乗れば、一年待ちたる、つつじの花が駒込駅の両側飾り、見惚れる人に、瞬時の停車を嘆かせる。

 上野に着けば、流石にストの影響か、疎〔まばら〕らな人影歩道を広く見せ、南の風が心地良く、妙に無気味な佇〔たたず〕まい、目の前の、裸形の銀杏も、何時の間にか、緑の衣を着込んで、銀杏〔いちょう〕らしく、風にそよいで、品〔しなを作る。

 街占易者の服装も、早苗〔さなえ〕の夏を迎える頃は、銀杏と逆に、一枚脱げば夏姿、いとも簡便なる衣更え。


■待つ程もなく、以前二度程お見えの女性、ツカツカと歩み寄る。
 化粧もせずに、髪も無造作、顔に愁〔うれい〕を浮べて「鑑て下さい」と一言。

 S26年生れである。
「今日は、何様な事ですか」と云えば、
「矢つ張り駄目なの」と云う、此方〔こちら〕が憶えて居る訳もなく、お話を伺えば・・。

 以前に、私が、鑑定した時、今の恋人は、他に女性が居る、今の内に交際は、止めた方が良い、貴女とは結婚しない、と占断したそうです。

 それが的占【易爺:テキセン=占いが的中すること】となり、彼は明日、結婚式である、彼の背信が憎い、彼とは、同じ会社であり、会社には居られない、会社を辞めるべきか、と、第一の問占です。


 会社を辞めることを占的に、三変筮にて、筮します。



未済五爻

未済五爻を得ました。
済【易爺:救うor齊〔ととのう〕】わずの意もあり、早急に辞める訳にも行かず、外卦☲離の主爻に変有って、来月末か、と見ました。未済も、外卦に移れば、済い易いと見ました。会社を辞める可否ですから、辞める、離れる、であり、

爻辞
「貞吉。无悔。君子之光、有孚吉」
・・貞吉〔テイキチ〕=貞〔ただ〕しければ吉。悔いなし。君子の光あり。孚〔まこと〕ありて吉・・

であり、辞めることは可であります。

 占断は
「会社は、辞めた方が良いです。来月末になると思います。常識的ですが、六月には、ボーナスが出るから、六月末まで勤める気になりそうですが、之は、五月末で辞めなければいけません」。

 これは、五爻上爻に比して、位当らず、一爻上るを、六月上爻と見て、
上爻象曰飲酒濡首、亦不知節也
・・上爻の象に曰く 酒を飲みて首〔こうべ〕を濡〔うるお〕す。また節を知らざるなり・・
であり、何か危いものを感じさせます。
 三陰三陽卦であり、筮前の審事から、男女の交りを深めそうに思えたからです。

「でも、彼と離れることは、淋しい、彼とは交際して行き度〔た〕い」と云う。諦め切れない、女心を覗〔のぞ〕かせる。私も、的〔まと=占的〕でないものを占った感じである。
「私と、彼との間を、もう一度 鑑〔み〕て呉れませんか」と、執念とも思える眼差〔まなざし〕にて見詰る。
 以前の占断で、事柄は解った筈と、冷めたくも云えず、一言、

「いいですか、私は易者として、貴女を占いました。其の通りの結果になったと、云われますが、其の時、注意した筈です。
 現在の結果は、相手を攻めるより、私の占断を聞いて、その時から、交際を止めなかった、貴女にあ
ります」と、云えば、

「解ってます、ですから信頼して、又、来たんです、占って下さい」と、涙声。多く言葉を費やして、説得するよりと思い、又ここで泣かれては、何事かと、思われ、物見高い人の、集るのは必定、早々に、彼と、彼女の今後を占います。
 中筮にて筮します。

 得卦は 本卦雷風恒(離坤艮艮艮坤) 之卦沢天夬。

画像


本卦恒は、三陰三陽の卦であり、長男長女の卦であります。夫婦の道は恒久でなくてはならぬ所ですが、事柄は、彼が他の人と、結婚して了〔いま〕う訳ですから、之〔これ〕を占考しますと、序卦、咸卦より、恒に移って、咸の恋愛から、恒の夫婦の交り、とも見られます。当然二人は、結〔むす〕ぼれて居り、恒は、全爻応じて、仲々離れられず、男に、順〔したが〕って行く女とも見られます。
初爻象曰「浚恒之凶、始求深也」
・・象に曰く「恒を浚〔ふか〕くするの凶なるは、始めに求むること深ければなり」・・
の過〔あやま〕ちでありましょう。

 恒は久也〔久しきナリ〕、であり、この交りは、男が結婚後も続くと見ます。

 之卦の夬は、陽盛んにして、陰を消す勢いであります。之卦夬には、並々でない決意が見られます。
「夬揚于王庭・・夬は王庭に揚ぐ・・」の訴〔うった〕えも考えられますが、私は、彼との関係を続けて行き、彼と結婚した彼女を、決し去る、と見ました。之卦夬は、良い方には取れません。恒久〔こうきゅう〕から、決潰〔かいめつ〕に転じそうです。
 又は、彼との関係を続けて、本人は、結婚しない決心か、何〔いづ〕れにしても、男に、身も心も惹〔ひ〕かれた、女の意地のように見られます。

 占断は、
「貴女は、彼と深い関係になって、離れ度〔た〕くない。このままの関係を続けて、出来れば、彼を取り戻す気でありましょう。しかし、それは、自分も相手側も、破滅しそうです。お考えのようには成りません。
 大変に、苦しい事でしょうが、早く諦めて、彼との交際は止めた方が良いです」
と、話します。恒は大坎似体の苦しみ【※】と、並行相背之象【易爺:ならびゆき あいそむくのかたち】の恒は、心は通っても、一緒には成れそうもなく、夬の別れ、決別に見て、又、恒の陽爻に艮を配し、事は進展しないと、占考してのことです。

【※】恒は大坎似体の苦しみとは、

☳ ☳
☴ ☶
恒⇔小過=大坎

上図の小過の卦象をみると解かるように、
☵坎を二倍に拡大した象です、これを大坎といいます。
 恒の卦象は小過の大坎によく似ているので、大坎似体といいます。
 坎の象意の「苦しみ」をみたのです。
【※おわり】



 彼女は、
「先生のおっしゃる通りです。彼とは深いし、諦めろと、云われでも、諦めません。彼と一緒に居られれば、何〔ど〕んな事もする気です。彼が戻って来ないのならば、何〔ど〕うすれば良いのですか」と、決心の程を打明ける。

「先程話したように、諦めて、交際は止めることです」と、云う私の言葉の少ないのに不満の様子か、又、女性に酷な、片手落ちの占断の為か、

「聞き訳のない女だ、と思って居るのでしょう」

「いや、違いますよ。迷って居る時は、仕方ないです。貴女の彼は、貴女には悪いが、貴女の思う程良い人ですか」と、恒五爻に変あるのを彼と見て、尋ねます。

「良いとは思いませんが、会えないと淋しい」
とのこと。そこで、手段としては、良いと申せません、が、恋の闇路〔やみじ〕に迷った女性を、納得させるには、と思い付いて、

「では、彼を占いましょう」と云えば、目を輝やかせて、

「ええ、お願い」と、S21年生れの問題の男性を占います。三変筮にて、山沢損初爻、



山沢損初爻

またも三陰三陽の卦。

 損卦に
「二簋可用亨・・二簋【易爺:ニキ=二枚の供え物を盛る竹製のお皿】を用〔もっ〕て亨〔まつ〕るべし・・」とあり、これは、二人の女性を用いて居り、其の損益を考えて、他の女性に移った人と見、乾を以て、坤を包み、表面は良いが、内面は、坤の欲の多い人であり、吝嗇である【※】。

【蛇足※】
山沢損の卦象をみると


上のように、三爻から五爻までの☷坤の卦を、外側の初爻・二爻と上爻を合わせた☰乾の卦で包んでいる卦です。
 外側は☰乾で剛毅で善良そうですが、内面は☷坤のどんな物でも貪欲に蔵するシミッタレ=ケチつまり吝嗇な野郎です(笑)
 こういう卦の見方を“包卦”といいます。
【蛇足おわり】

 今、初爻を得て 彼女のために占したのであるから、
初爻爻辞「已事遄往。无咎。酌損之」
・・事をやめて遄〔すみ〕やかに往けば、咎〔とが〕なし。酌〔く〕みてこれを損すべし・・
は、彼女は、彼より早く離れなければ良くない、少しの損の内に考えなければ、伏する山水蒙は、子供でも出来そうである。何れにしても損である。
大象日「君子以懲忿窒欲」
・・君子忿〔いかり〕を懲〔こ〕らして欲〔よく〕を窒〔ふさ〕ぐ・・

、というのは適切な言葉である。

 さて、説明は
「彼は、貴女と、他の女性とを、秤〔はかり=てんびん〕に掛けて、どちらが得かを計った人であります。欲張りで、ケチである。損することは嫌である。恐らく、交際中には、貴女がお金を使ったであろう。貴女は、身体もお金も、損をして了〔しま〕ったが、早く、離れないと、子供が出来そうです。又そのようになっても、決断する人ではい。貴女は、彼に対しての忿りや、彼を欲しいと思う心を、止めないと、彼に利用されるだけです」と、諦らめさせる為に、少々憎々しく説明しますと、

「その通りの人なの」と小さな声の返事、後は、素直に、納得なさったかに見えましたが、

「でもね」と、云い乍ら、未練を残して帰られる。
 愛というには程遠い、めくるめくよな秘め事に、妖しく燃える情炎の業火〔ごうか〕に焼ける女の性〔さが〕が、哀しく映る八卦の面〔おも〕、溺れる彼女に浮子〔ふし〕の役が街占易者の務めと思い、強く伝えはしたものの、悟るに遅い煩悩〔ぼんのう〕に、悔〔くい〕のみ残し、答えはあれども、之れからは、如何に歩むかと、思案の耳に、季節に早い蚊の羽音〔はおと〕、如何にも、か細い一匹が、健気に身構え刺す気にて、十分の魂備えたる、夏の走りの蚊の姿、生れて来て済まなそうな恰好にて、柔らかい南の風に煽られて、夏の魁〔さきがけ〕告げる使者、ゆらぎ迷って、飛び浮ぶ、ここ当分は、此
奴〔こやつ〕を友に、夜の上野の哀歓綴る。

 ・・・『易学研究』昭和47年6月号より・・・

   ×  ×  ×

 おしましい^L^

 女性の愛欲の怨念はこわいですぞ クワバラ クワバラ
 これから逃れる秘訣・・・そうですね、振られるように振舞うことです・・・これが失敗すると殺されますよ(笑)


 小林喜久治先生の御冥福を御祈り致します(合掌)

画像



阿呆らしゅうてやがて悲しき虱取り
    つぶす手先きにあわれみが来て
    ※小林先生の兵隊当時の体験だそうです。

おもしろうて心に非ず年を取り
    忘れる年は孫に教わり
    ※小林先生の自評:この方が前向きです。


小生もひとつ:

あほうらしゅうてやがて悲しき我がいきじ
     やがて凋〔しぼ〕んで萎え果つる哉  青柹郎









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